なす

 

2016年9月

東京でも、郊外には無人の野菜直売所があるというと、都心のど真ん中に住んでいる方には驚かれますが、うちの冷蔵庫の半分ぐらいはそんな地元の旬の野菜で占められています。

 

直売所の中でも一番よく見かけるのはコインを入れるとドアがあいて野菜が取り出せるロッカータイプの販売方式。時々、野菜を入れている農家の人や先客に出くわすこともあります。先客が常連さんだと、「ここのトマトは金賞をとってるから近所の中でも一番」とか、こうやって食べるとおいしいよなんて情報がいただけることも。

その日、きゅうりを買おうと立ち寄ると、おばちゃんが野菜をロッカーに入れている最中でした。「まだ鍵をかけていないから好きなのを選べるよ~」と言ってくれたけど、どれもおいしそう・・・。おばちゃんがなすを手にしていたので、「なすももらおうかな」というと、「とれたてのなすのおいしい食べ方知ってる?うすーく切って、塩もみしてきゅーっとしぼって、しょうが醤油で食べてごらん。おいしいよ~。でも、とれたてじゃないとだめだよ」。  

 

早速、帰って作ってみました。きゅーっとしぼると茶色い水が。これであくが抜けているはずだから・・・とつまんでみると、甘い!しょうが醤油なんていらないぐらいおいしいけど、やっぱりしょうが醤油にしてみると、しょうががピリッとなすの甘みを引き立てて、さらにおいしくなりました。もしとれたてのなすが手に入ったら、おすすめです。

 

生のなすをきゅっとしぼってしょうが醤油で。
生のなすをきゅっとしぼってしょうが醤油で。
さるすべり 夏の花のむこうに夏の空。
さるすべり 夏の花のむこうに夏の空。

なすが買ってから少し日がたってしまったり、生のなすは皮が口に残るのが気になるとおっしゃる方には、なんちゃって焼きなすはいかがでしょう。なすが真っ黒になるまで焼くのを考えるだけで暑いというときには、丸ごとのなすにフォークでぷすぷすと穴をあけ、ラップにくるんでチン。蒸気でやけどしないようにそっとラップを外し、なすの皮をむきます。熱いからって水にさらしてしまうと味が水っぽくなってしまうのでここだけはがまんしてむきましょう。翡翠色の身をさいてしょうが醤油などお好みの味付けでどうぞ。まだ残暑厳しい夏にもってこいの火を使わない一品、いかがでしょうか。