浮世絵展 EXPO UKIYO-E

  

2016年11月

2016年は日本とベルギーの友好150周年にあたり、年間を通じて数々の行事が行われており、あらためて深い絆が両国の人々の間に築かれている。
その有終の美を飾るイベントがサンカントネール博物館で行われている「浮世絵展」だろう。欧州随一といわれる4666点から選りすぐった浮世絵が、2回に分けて展示される。

展示会は、浮世絵制作の手法を紹介したビデオと当時の道具の展示で始まっている。浮世絵といえば、日本人でも歌麿や北斎などの絵師に注目がいくが、その下絵を彩色する摺師や、彫師、それを販売する版元なくしては、世間に広まらなかった。ビデオは、日本人の器用さと気が遠くなるほどの忍耐強い仕事を紹介しているので、ベルギー人はもとより、日本人にも改めて先人の偉大さが実感できるだろ。

 

全ての写真提供All Pictures © mrah ※写真をクリックすると拡大表示されます。

会場は主だった絵師とジャンルごと16に分かれて紹介されている。美人画の先駆者である鈴木晴信の初期のモノクロの版画や錦絵(多色摺)が多く展示されており、それらがその後の浮世絵の繁栄につながったこと等を考えながら見てみたい。
北斎のあまりにも有名な「神奈川沖浪裏」や歌麿など数多いが、特筆すべきは、欧州で唯一の写楽の大首絵「2代目嵐龍蔵の奴なみ平」、大胆な構図と巧みなぼかしを駆使した広重の「堀切の花菖蒲」、現代の漫画の吹き出しの元祖ともいえる、歌麿が描く花魁が大名夫人となる夢を見る版画⑭、夕涼み、花火、相撲、ペットなど、市井の人々の風俗の浮世絵、ゴッホが忠実に油絵でコピーした広重晩年の代表作「あたけ大橋の夕立」など。

また一般の浮世絵と違い、少数注文により作られた「摺物」にも注目したい。豪華な紙に印刷された広重の「元禄歌仙貝合」などは、当代随一の彫師と摺師、絵師の技術の結集であり、その精緻な美しさで見事である。北斎が絵手本として描いた「北斎漫画」は、19世紀、欧州に輸出する陶磁器を守るために挟んでパッキン代われたもので、優れたデザイン性はモネやゴーギャン影響を与えた。

開催期間:
1期:10月21日~12月20日、2期:12月21日~2月12日2017年

全ての写真提供All Pictures © mrah


Musée du Cinquantenaire
Parc du Cinquantenaire 10
B – 1000 Bruxelles
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