備えあれば憂いなし

2016年1月

 

 

毎年同じお重に同じレシピなのに出来は同じとは限らないおせち。今年の出来は?
毎年同じお重に同じレシピなのに出来は同じとは限らないおせち。今年の出来は?

 お正月といえばおせち料理。日本にいてもヨーロッパにいても常夏の国にいても、私は新年には必ずおせちを食べたいので、たとえ数種類でもそれらしきものを用意します。お重がなくても大皿に盛り付ければそれはそれで豪華です。年の暮れに用意したおせちを三が日につまみながら、これは究極的な保存食だなぁといつも思うのです。塩や砂糖を多めに加えたり酢を使ったり、味付けだけで数日間もたせられるのですから先人の知恵とはすばらしいものです。

 

今は冷蔵庫や冷凍庫で食糧を保存できる便利な世の中ですが、電気が止まってしまったら?皆様、いざというときの食糧の用意はありますか?災害によって、直接自宅が被害にあわなくても近所のスーパーから飲料水やインスタント食品があっという間に消えてしまった・・・という経験をされた方は多いのではないでしょうか。 

 ニューヨークにいたときにはハリケーンに遭遇し、ホテルに二晩ほど避難したことがあります。9月11日の同時多発テロから十周年の節目の年に居合わせたこともあってテロは覚悟していたけれど、大都会で自然災害にあうとは渡米前には想像もしなかったことでした。つくづくどこにいても何があるかわからない・・・と思ったものです。避難すると決めるよりも前に、備えを呼びかける報道を目にしてまずスーパーに出かけました。用意するのは飲料水、懐中電灯の電池、そして・・・?周りの人のかごをみると、腹持ちのよいグラノーラ・バー、インスタントのマカロニ・チーズ、りんご、ビスケット、ベーグル・・・国が違えば備える食べ物も違うのだなぁとおもしろく思ったものです。

 

最近、日本では「ローリング・ストック」という言葉を時々耳にするようになりました。普段の食事でも使える缶詰や乾物を備蓄も兼ねて用意して、定期的に食べることで入れ替えていくというものです。「日常備蓄」という言葉もあって、こちらもわざわざ災害用備蓄を用意するのではなく、日常食べる保存のきくものを少し多めに用意しておくという考え方だそうです。どちらにしても、防災用の備蓄としてしまえば数年間そこだけデッドスペースになってしまいますが、食糧庫の一角に「使ってもいい備蓄」として缶詰や乾物を蓄えることは肩ひじ張らずに準備できそうな気がします。普段から使って新しいものに入れ替えることで消費期限切れを心配する手間も省けます。 

 

東京都民に配られた「東京防災」のキャラクターは防サイくん
東京都民に配られた「東京防災」のキャラクターは防サイくん

昨年、東京都民には「東京防災」と大きく表書きされた小さな黄色い箱が配られました。中には防災ハンドブックや居住区域の防災マップが入っている中々便利なものです。要望が多かったために11月に全国で発売すると、三日で完売してしまったという人気ぶりだそうです。災害知識や様々な備え、テロ・武力攻撃や感染症まで多岐にわたって記載されています。項目の多彩さからも「災害」というのが地震と天気予報にアンテナをはっていればすむものではないということに改めて気付かせられました。この防災ハンドブック、東京都防災ホームページで公開されていますので、ご興味のある方はぜひご一読を。東京都民ではなくても役に立つ情報が満載です。日本国内にお住まいの方はぜひお時間のある時にご近所の図書館の防災コーナーをチェックしてみてください。阪神大震災や東日本大震災のあとに実際に経験された方々の缶詰や乾物を使ったレシピ集や空き缶やろうそくを使った調理レシピ、ガスボンベをいかにうまく使って料理するかなんて興味深い本がたくさんありますよ。備えあれば憂いなし。今年もよい年になりますように!

 

「東京都防災ホームページ」

                http://www.bousai.metro.tokyo.jp/book/index.html