過ぎ越しの祭り

2015年4月

 

 

フードトラックで買ったイスラエルのストリートフード、ファラフェル。
フードトラックで買ったイスラエルのストリートフード、ファラフェル。

ニューヨークのユダヤ人が生み出したのがベーグル。中でもサーモンとクリームチーズたっぷりのベーグルサンドイッチ、通称loxはニューヨークの名物のひとつです。ユダヤ教徒の中でも厳格な人たちは、コーシャー(Kosher)といわれるユダヤ教のラビ(聖職者)OKしたものだけを口にします。豚は一切だめ。他の肉類は戒律にのっとって血抜きしたもののみ。牛と牛の乳を同時に口にしてはならない(具体的には、ステーキを食べたらデザートにアイスクリームはだめってことです)・・・など、様々な規定があります。イスラエルでは特に厳格なユダヤ教徒でなくても守っている人の多い戒律でしたが、ニューヨークで暮らしている普通のユダヤ人はあまり気にせずチーズバーガー(牛肉のパテと牛乳のチーズを同時に食することになるので戒律に反する食べ物)も平気で食べています。

そんなニューヨークのふつうのユダヤ人でも、キリスト教の復活祭のころに行われる大事なお祭り、過ぎ越しの祭りの期間にはちょっとまじめに戒律を守る人が多いようで、スーパーにはたくさんのマッツォ(マッツァともいう)が出回ります。これは、一見、特大折り紙サイズのソーダークラッカーですが、パンの代用品です。というのも、過ぎ越しの祭りの間は出エジプト記の逸話にちなんで発酵させたパンが一切禁止されるため、無酵母で発酵させないマッツォが代わりに食されるのです。たまたまこの期間にイスラエルのホテルに宿泊していた人の話では、ルームサービスでサンドイッチを頼むと、この巨大なクラッカー、マッツォに具が挟まって出てきてびっくりしたとか。また、イスラエルのマクドナルドでもその期間はハンバーガーのバンズが特殊なパンにかわります。シュークリームの皮のようなふかふかしたパンでしたが、今思えばマッツォの粉でできていたのかもしれません。

マッツァにチョコレートと飴がかけてあるお菓子。
マッツァにチョコレートと飴がかけてあるお菓子。

そしてニューヨークでも、スーパーにはたくさんのマッツォが並び、マッツォの粉で作ったマッツォボールと呼ばれる団子の浮いたスープがデリコーナーに見られます。私はマッツォは味気なくてあまり好きではないのですが、これにキャラメルやチョコレートをからめてあるお菓子は好きで、この時期しか売っていないのでせっせと買い求めます。カップケーキで有名なマグノリア・ベーカリーのレジの横でみつけて、やっぱりニューヨークはユダヤ人が多いのねと妙に納得したものです。





ドーナッツもアイスクリームもユダヤの戒律にのっとってKosherです、というユダヤ教徒にとって安心のサインが見えます。
ドーナッツもアイスクリームもユダヤの戒律にのっとってKosherです、というユダヤ教徒にとって安心のサインが見えます。