スーパーフード キヌアLe quinoa

2016年8月

キヌアという種子がヨーロッパ人の食卓に上るのは稀だったが、このところ急激な勢いで脚光を浴びている。キャビアのようなプチプチとしたテクスチャとかすかなノワゼットの味、調理がしやすく、癖のない味はいろいろな料理に応用できるので人気だ。しかし、なにより素晴らしいのはその栄養成分である。

 

キヌアとは

キヌアは、ボリビア、チリ、ペルーなどにかけて広がるアンデス山脈の高地アルティプラーノで、5千年以上も前から栽培されている南アメリカ原産の一年草の「疑似穀物」である。コロンブスが大陸を発見する以前の人たちの基本の食材で、貧しい土地にもよく適応し、寒さ、高地に耐えることができる。

 

キヌアは一般に「穀類」とみなされているが、植物学上では、ほうれん草やビート、フダンソウと同じ「アカザ科」に属する植物の果実である。そのため、キヌアの葉はほうれん草のように調理できる。

 

ちなみに、イネ科のキビ、アワ、ヒエやタデ科のソバもキヌア同様「疑似穀物」で、これらをまとめて【雑穀】と呼ぶ。【雑穀】とは、イネ科のイネ、麦、トウモロコシなどの主要穀類以外のちいさな種をつける作物のことを指す。つまりキヌアはシリアル(穀類食)に似ていてシリアルの様に食べるが、シリアルではないのだ。

 

★尚、quinoa の学名はChenopodium quinoaで、英語でもドイツ語でもキノアと発音するが、日本ではなぜかキヌアなので、ここでもキヌアと明記。

 

栄養価

特筆すべきは、他の穀物よりも多くの良質のタンパク質を含んでいることだ。しかもアミノ酸が非常にバランスよく配合されている。特にリジン(細胞の成長や修復、カルシウムの吸収促進、肝臓機能の強化効果がある)、メチオニン(アレルギーの原因のヒスタミンを抑える働き、うつ症状を改善する)、シスチン(活性酵素から守る)が多く含まれている。繊維はシリアルの4倍と多く、皮膚、髪、身体の発育に欠かせないリボフラビン、主要ミネラルのマグネシウムとカリウム、さらに銅、亜鉛、リン、そしてビタミンB1,B2も含むというすごさである。カロリーが少なく消化が良く、グルテンフリーで、レモンなどビタミンCを含む食品と一緒に取ると鉄分の吸収が良くなるなど、体は小さいが栄養の宝庫なのだ。

食べ方

このスーパーフードを食べない手はないが、キヌアの表面は除虫、除鳥効果があるサポニンという樹脂(松脂)に覆われているので苦みがあるので、それを取り除いて食べる必要がある。水溶性なので、水でゆすげば簡単に取り除ける。サポニンのせいで最初はせっけん水のように泡立つので、泡立たなくなるまで何回も水を換えてすすぎ洗いをしてから調理する。キヌアは種類が多く大きさや色も様々で、サポニンのないものもある。

 

調理法は他の穀類と同様で、米の代用ともなる。タブレ、クスクス、リゾット、野菜のファルシ、ハンバーガー、コロッケ、米の代わりにカレーに添えるなど和風の料理やエスニック料理にも合う。甘くして、リオレ(米をミルク砂糖で煮たもの)の代用、粉末を使って、パン、クッキー、マフィンなどと応用範囲が広く、冷凍保存もできる。2歳以下の子供には不向き。

 

キヌアはボリビアやペルーからの輸入品が多いが、近年ベルギーのワロン地方で栽培しているBIO製品もある。キヌアは自然食品店に置いてあるが最近ではスーパーでも見かけるようになった。ガラスの容器に保存して暗室で保存する。

 

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