誕生日はカップケーキで

                                          2013年3月

 

年に一度の誕生日。アメリカでは、こどもの誕生日が近付くと親はパーティーの企画に頭を悩ませることになります。それとは別に、誕生日当日は幼稚園や小学校の教室に親がケーキやプレゼントをもってわが子のお祝いにかけつけるのが慣例になっているようです。プレゼント・・・といってもこの場合は「お祝いしてくれてありがとう」なのか「お祝いのおすそわけ」なのか、クラスみんなにあげる小さなプレゼントです。学齢や地域にもよるでしょうが、うちの子が幼稚園の頃にはえんぴつや絵本をもらってきていました。小学校1年生になるとケーキだけになりました。ケーキといっても、スケジュールのつまった授業の合間に立派なホールケーキをカットしている暇はありません。アメリカといえば・・・カップケーキ。

 

カップケーキはこのために普及したのではないか、とわたしは勝手に思っているのですが、配るだけなのでラクチン。しかも、フォークもお皿もいらないので小さい子でもあまり汚さずに食べられるのです。うちの子が「今日はBirthday Celebrationがあったよ」と言って帰ってきたときの話をふりかえると、お祝いのケーキは今までほぼ100%カップケーキでした。

 

もうひとつの利点はフレーバーが選べること。アメリカ育ちの子供たちは好き嫌いがはっきりしているので、嫌いなものは容赦なくゴミ箱に捨ててしまいます(これは教育のせいもありますよね・・・)。そこで、うちの子が初めてアメリカで誕生日を迎えるにあたってわたしに言ったのが、「カップケーキはバニラとチョコレートを用意してね」ということでした。うちの子はチョコレートケーキ派。バニラケーキでも捨てたりはしませんが、クラスメートがどちらかしか食べなかったり、お母さん達がそれぞれの好みに対応できるように2種類持ってきているのを目の当たりにして学習していたようです。こどもに言われた通り2種類のカップケーキを用意し、捨てられることなく無事にみんなに食べてもらって、ハッピーバースデーを歌ってもらって誕生日をお祝いできたのでした・・・こどもの顔を立てるのも大変です。

 

「では、共働きの人はどうするの?」とここまで読んで思われた方もいらっしゃるでしょう。ニューヨークなんて共働きがほぼ当たり前。でも、わが子の誕生日はきっちり休暇を取ってみんなカップケーキがいっぱい入った袋を両手に提げていそいそと学校にやってきます。お母さんが無理ならお父さんが、あるいはおばあちゃんが、時には両親揃ってちゃんとやってきます。まぁ、義務ではないので、やらない人も、朝、先生にケーキだけ渡していく人もたまにはいますが、低学年のうちは、学校でお祝いしてあげるのが親の務めのようなもの・・・。そして週末には誕生日パーティー。そちらのケーキは子どもの好きなキャラクターをどーんと描いたホールケーキあり、またまたカップケーキあり、そしてバルーンに誕生日プレゼントに参加者へのお土産に・・・お金はいくらあっても足りません!                                                                                                                                      by 京子