夕闇に浮かぶモン・サン・ミッシェル

 

2014年2月

 

 

日が沈み、辺りがだんだんと暗闇に覆われはじめるころ、静寂に包まれたモン・サン・ミッシェルはとても幻想的です。修道院や店に明かりが灯り、遠くから眺める島は全体が一つの建造物のようにも見えます。潮が満ちたモン・サン・ミッシェルは一段と美しく、時を忘れてしばし見入ってしまいました。

サン・マロ湾に浮かぶ小島に建てられた修道院、モン・サン・ミッシェル。「聖ミカエルの山」という意で、司教オーバルが大天使ミカエル(フランス語でミッシェル)のお告げにより礼拝堂を建てたのが始まりで、その後、修道院が建てられ、増改築を繰り返して現在のような形になりました。一時期、要塞や牢獄として使われていた時代もあったそうです。

もし宿泊するのなら、朝一番、まだ観光客の少ない時間をねらって、見学するのがお勧めです。島の上部に位置する修道院までは、レストランや土産物屋が並ぶ細い坂道や階段を上がって向かいます。少し息が切れたころに、入口に到着。オーディオガイドは日本語での解説もあり、詳しく知りたい方は聞きながら回ると、建物のことがよく分かります。

湾を一望できる西のテラスから修道院付属教会へ入ると、高い天井と窓から差す光の神秘的な美しさ、厳かな空気に自然と神聖な気持ちなりました。

 

さて、たくさん歩いた後は、お腹の虫が鳴いています。モン・サン・ミッシェルの名物と言えば、その昔、巡礼者のために作られていた、オムレツが有名です。十分に泡立てた卵で焼くふわふわのオムレツは、日本人のイメージするオムレツとは形も味もだいぶ違うそうです。というのも、行く前に調べた評判と、現地で見たメニューに書かれた値段の高さに、焼いている様子だけを店先からのぞいて食べなかったため、そのお味のほどは分かりません。またの機会があったら、その時はチャレンジしたいと思います。

 

今回は、ガレットを食べることにしました。モン・サン・ミッシェルはノルマンディー地方にありますが、ブルターニュ地方との境にとても近い場所に位置しています。小麦の栽培に適していなかったブルターニュは、そば粉を使った料理「ガレット」の発祥の地です。ということで、すぐお隣の地方料理、ガレットを昼食に選んだのでした。

 

定番メニューに加え、ハムやチーズ、ジャガイモ、マッシュルーム、玉ねぎ、卵など好きなものをチョイスして焼いてくれるものもありました。薄く香ばしい生地にたっぷりの具、思った以上にお腹がいっぱいになりました。


 夕食には、モン・サン・ミッシェルのもう一つの名物、「プレ・サレ」をいただきました。プレ・サレとは、海辺の潮風にあたったミネラルが豊富な牧草を食べて育った子羊の料理です。

まず始めはそのままパクリ。くせがなく、羊肉のうまみが口いっぱいに広がります。私のオーダーした料理には、別の器に入ったニンニク風味のクリームソースが添えられていました。次はそれをかけてパクリ。程よくニンニクが香り、羊肉を引き立てます。ノルマンディーは乳製品が名産品です。食後にはチーズの盛り合わせもお勧めです。


 

 

翌朝は、持参した水筒にコーヒーを入れ、買っておいたパンを持ち、車を走らせてモン・サン・ミッシェルが見える所へ。美しい景色を独り占めしながらの車中での朝食もこれまた贅沢な時間でした。