甘酒

2016年7月

梅雨に入り、気圧のせいか、急激な気温変化のせいか体調を崩してしまいました。毎日欠かせなかったコーヒーは飲みたくなくなり、ふだんは平気なインスタント食品も受け付けなくなり、困った困った・・・。一家に主婦は二人もいらないとは言うけれど、コックは二人必要よね、と料理できない局面に出くわすたびに思います。

家人には数少ないレパートリーでこどもの分もなんとかしのいでもらうとして、私自身はどうしたものか。そこで冷蔵庫に眠っている「こうじ」に思い至りました。そうだ、甘酒を作ろう!このところ、某国営放送でもこうじの特集を数週間にわたって放送していましたが、スーパーでも瓶詰の甘酒や甘酒プリンなんてものまで棚に並べていて、どうやら甘酒が見直されつつあるようなのです。ぼーっとした頭で甘酒なんて思いついたのも、知らず知らずのうちに日々、私の頭にも甘酒がすりこまれていたのかもしれません。 

以前、甘酒を初めて作ったときは炊飯器でおかゆをたいて、そこに米こうじを加えて10時間ほど60度に保つという方法で作り、面倒を見すぎたり温度管理がうまくいかずに失敗を繰り返しました。

 

今回は、最近まではまっていたスープジャーで作ってみることにしました。これなら少量で作ることができます。こうじの袋に書いてあったのはおかゆとこうじを混ぜて60度に保つ方法。でも、以前調べたときに、「おかゆをいれるのは量を増やすため」とどこかで読んだのが頭にあったので、少量で十分だしめんどうなことは省略。こうじに直接お湯を注ぐことにしました。60度を保つということ以外は放任主義に徹することに。ただ、この60度に保つというのが実は難しくて、スープジャーはまずこうじを入れる前にお湯を一度入れて内部をあたためて捨て、それからこうじと70度前後ぐらいのお湯を少なめにいれることに。4,5時間後、温度を上げるために少しお湯を足し、また4,5時間。様子を見てお湯を足して数時間で甘くなっていれば甘酒の元(甘こうじ)の出来上がり。これをお湯で割れば甘酒。お米の粒粒が気になるようならミキサーにかければとろっとして飲みやすくなります。

 

甘酒は「飲む点滴」と言われるほど栄養豊富。これを信じて救われました。何も食べたくなかったけれど、優しい甘さの甘酒だけは体にしみわたっていくのが心地よく、数日後にはほかのものも食べられるようになりました。今は雑食の健康体に戻りましたが、楽ちん甘酒だけは気長に続けています。

甘いものがほしい時には甘酒の元を豆乳でわって豆乳甘酒にすると口さみしさもすっと解消。時にはブルーベリーを一緒にミキサーにかけてブルーベリー甘酒にしたり、それをさらに豆乳で割ったりとバリエーションも楽しめます。

期せずして7月9日の読売新聞にも甘酒に関するコラムが。それによると、俳句の世界では甘酒は夏の季語だとか。昔の人は「熱い甘酒を飲んで、その後の涼しさを楽しんだ」そうです。

 

現代の夏の暑さはその頃の比ではないのでそんな風流な過ごし方はなかなかできませんが、昔の人にならってちょっと温かい甘酒を少し飲むだけでもしゃんとする気がします。