食物アレルギー@school

 

 

2014年6月

 

 

日本では三大アレルギーといえば卵・大豆・乳。我が家にも1歳前から卵アレルギーと診断された小学生がいます。ところがアメリカでは「たまごアレルギー?そんなアレルギーあるの?!」と言われたことも度々あるぐらい、どちらかというとマイナーなアレルギーです。では何が一番よくあるアレルギーかというと、「ピーナッツ」アレルギーです。学校でざっと見た感じでは食物アレルギーをもつ生徒はクラスに一人いるかいないかというぐらいの割合ですが、一番多いのがピーナッツアレルギー、次か同じぐらいに多いのが乳アレルギー。大豆は日本のように醤油や豆腐をよく食べるわけではないせいか、私の周りではあまり聞きません。一人だけ知っているのは、大人で、ヴェジタリアンになって毎日、豆腐や大豆でできたチーズ、牛乳の代わりに豆乳を飲んでいたら大豆アレルギーになってしまったという人です。 

 

ピーナッツアレルギーは、重度の人であれば同じ室内で他の人が食べているだけで成分が体に入って症状を起こすといわれています。ですが、アメリカの家庭ではサンドイッチといえばピーナッツバター&ジェリー(果肉の入っていないジャムのようなもので、この組み合わせでは通常グレープジェリー)サンドイッチが定番で、なかなかランチから排除するのは難しいのが現実です。

 

「ピーナッツアレルギーに配慮して、ピーナッツ及びナッツ類を排除しようとする学校に安心して持ち込めるタイプのカップケーキ」。    写真をクリックすると大きな画像が表示されます。
「ピーナッツアレルギーに配慮して、ピーナッツ及びナッツ類を排除しようとする学校に安心して持ち込めるタイプのカップケーキ」。   写真をクリックすると大きな画像が表示されます。

 

たいていの小学校ではランチ持参にしろ、学校のカフェテリアの食事を選ぶにしろ、教室ではなくカフェテリアで食べるようになっています。先進的な学校ではカフェテリアの食事からピーナッツを完全排除しているようですが、多くの学校ではいまだにピーナッツバター&ジェリーサンドイッチが毎日カフェテリアに並んでいます。それは、日替わりのメニューが嫌で食べられない子でもこのサンドイッチなら嫌がらずに食べられる確率が高いからのようです。

 

うちの子の通う公立小学校では、他の生徒たちの席から少し離れた「アレルギー・ブース」と呼ばれる一角を、アレルギーの子どもたちの席に指定しています。卵アレルギーの子もここで食事をします。我が子はピーナッツアレルギーではないのでピーナッツバター&ジェリーサンドイッチを食べてもかまわないのですが、そんなこともお構いなしに「アレルギーの子はここね!」とスタッフに言われるそうです。自分の子がピーナッツアレルギーだったら・・・と思うとぞっとする話ですが、たまたま同じ学校には重篤なアレルギーの子はいないのか、特になんとかしようという話もききません。一概には言えませんが、学校での対応を含め、一般的なアレルギーの認識は実は日本のほうが進んでいるように思います。

 

 

学校という親の目から離れたところで、こどもが自分の身を守らなければならないというのは、まだ小さくてうまくいいたいことを伝えられないこどもには難しいものです。まして外国語で伝えなければならない・・・そこで、入学するにあたって苦肉の策で身に着けさせたのが皮革製のブレスレット。アメリカの学校ではブレスレットやネックレス程度なら男の子も女の子も身につけていてもとがめられることはあまりありません。そのため、テーマパークで見つけた名前を入れてくれる皮革製品のショップで、あえて「No EGGS」とでかでかと彫ってもらって毎日つけさせることにしました。英語をほとんど知らずに渡米した子どもに一番大事な「Bathroom(トイレ)」という言葉の次に覚えさせたのが「Egg(卵)」と「Allergy(アレルギー)」。そしてうちの子のブレスレットを目にして「何それ?」というクラスメートに、我が子は一言「卵アレルギー!」と答え続け、あっという間に新しく来た日本人の子はアレルギー持ちであるということが浸透したのでした。「○○は卵アレルギーだから私も卵をお弁当にもっていかないよ!」とお母さんに伝えるお友達も現れました。私は、隣で卵を食べてもいいんだよと伝えつつも、みんなでわが子を守ってくれるようになったのは想定外のうれしいことでした。