世紀末美術館
2014年2月
ベルギー王立美術館内に「世紀末美術館」と名づけられた新セクションが、2013年12月オープンした。王立美術館は、古典美術館、近代美術館、そしてマグリット美術館と3セクションに分かれていたが、これに世紀末美術館が加わったことになる。
ベルギーでモダニズムが活発になった19世紀末の作品が主だが、同時代の外国の作家(ゴッホ、ゴーギャン、ボナール、セザンヌ、ロダン、スーラ)なども多数ある。当時のブリュッセルは、絵画、建築、音楽、装飾芸術、写真、文学などで、後世に残る多くの巨匠を生み出し、時代の先端を行く文化の中心地だった。ジャンルも写実主義から印象主義、象徴主義、ネオ印象主義、ポスト印象主義と全てをカバーしている。
日本人になじみがある名前をあげると、仮面画家として有名なジェームズ・アンソール、「二十人会」のメンバーであるフェルナン・クノップフ「スフィンクスの愛撫」、点描画のテオ・ヴァン・リッセルベルグ等。是非見学したいのは、ブリュッセル市が保管していたアールヌーヴォーの個人コレクションだ。ヴィクトル・オルタやアンリ・ヴァン・ド・ヴェルドをはじめ、エミール・ガレやドームのガラス工芸、アルフォンス・ミュシャのもっとも重要な作品の一つと言われる、異教徒の神「自然」のブロンズ像など、これが個人所有だったことに驚かされることだろう。