ニューヨークの地下鉄

 

2014年11月

 

 

「もしお金のことを考えなくてよければ、何を考えますか?」これは宝くじの広告のコピー。地下鉄に乗り込んで座席に座り、ふと目をあげるとくだんの宝くじの広告が。そこにはキャッチコピーとプールでのんびりしている女性のイラストがあり、その女性が考えているのは・・・
「 トマトは果物だっていうのなら、ケチャップはスムージーってこと?」

え、そう?いやいや、そうじゃないでしょう?とケチャップに思いを巡らせているうちにあっという間に目的地へ。地下鉄の中には時々ウィットに富んだ広告があり、乗車時間を短く感じさせてくれます。

 

私がそんなにのんびりと地下鉄に乗っているとは知らないベルギー在住ウン十年の編集長に「ニューヨークの地下鉄ってあぶなくないの?」と、きかれました。一昔前までのハリウッド映画などでは殺伐とした地下鉄の駅が出てくるシーンもよく見られたのでそのイメージなんでしょうね。昔のニューヨークを実際に知っている人たちは現在のニューヨークについて、口をそろえて「夜中に地下鉄にふつうに乗れるなんてニューヨークはずいぶんと安全になった」といいます。

 

 

 

当時を知らない私は、薄暗く時には鼻をつまみたくなる駅構内を東京の地下鉄と比べていやだなぁなんて思ったりもするのですが、実際、毎日のように地下鉄を使っていて危険を感じたことはほとんどありません。新しい車両は日本製のものが多く、社内には電光掲示板で次の駅や時刻の表示もあるので便利です。どこに行くのも同一料金(201410月現在2ドル50セント)で、隣駅まで乗っても1時間以上かけてブルックリンのコニーアイランドまで乗っても同じです。近くの買い物で交通費の出費がいたいなぁと思っていても、たまに遠出するとなんだか得した気分になるのでトントンといったところでしょうか。

 


 

朝は通勤ラッシュで混雑している路線が多いですが、バケーションシーズンになると、スーツ姿の人たちにかわってスニーカーに地図を片手にした世界中からやってきた観光客でこみあうようになります。ニューヨークに住んでいる人たちも世界中からきているので、いろんな言葉で道を尋ねる人や答える人の会話が聞こえてきます。

 

そんな便利な地下鉄ですが、時々ニュースで問題として取り上げられるのがネズミです。私も何度か線路の上をちょろちょろっと走る、かわいいというには大きすぎるネズミを見たことがありますが、ニュースで出てくるのは車内をネズミが走る映像です。ニューヨーク当局もネズミを問題視して地下鉄車内は飲食禁止にしたはずなのですがあまり守られている様子はなく、人の食べこぼしをねらってか、車内にまでネズミが入ってくることもまれにあるようです。電車内の閉鎖空間にネズミはさすがにぞっとしますね。 

 

ネズミは防ぎようがありませんが、持ち物に気を配り、居眠りをしないなど最低限の危機意識を持って地下鉄を使う分にはとても便利です。あとは急なトラブルで停止したり、急行が各駅停車になったりすることもあるので時間に余裕をもって動くとよいでしょう。