世界のバレンタインデー

2015年2月

 

                ❤ アメリカ ❤



2月といえばバレンタインデー・・・というのは日本だけでしょうか?あの、街中に赤やピンクやハートが増えていく感じは日本だけではないかと思っていました。でも「本命」だの「義理チョコ」だのといった時代を経て、今や友達や自分に贈るチョコレートを選ぶ時代になり、日本のバレンタインデーも変わってきたようです。さて、アメリカでも2月といえば歴代大統領の誕生日やら中国系の旧正月やらの祝日におされぎみながらもバレンタインデーは存在します。



その昔、アメリカの片田舎で高校に通っていた頃のお話です。


午後の授業も終わりかけの時、突然校内放送が始まりました。「今から名前を呼ばれた方は体育館に来てください。○○、XX・・・」延々と名前が続きます。仲のいい女の子たちの名前も呼ばれており、気がつけば教室の中も女の子だけが一人、二人、と呼ばれて抜けていきます。だいぶ経って、その日がバレンタインデーだということに気付きました。体育館に呼ばれた女の子たちには、学校あてで届いたボーイフレンドからのプレゼントが待っていました。チョコレートに限らず、ハート形のボックスに入ったお菓子、真っ赤なバラの花束や赤い風船などです。放課後にはそんなプレゼントを抱えてボーイフレンドのところにニコニコと駆けつける女の子たち・・・「日本と逆なんだなぁ・・・」とあっけにとられたうぶな私でした。


そして一児の母となって迎えた大都会ニューヨークのバレンタインデー。小学校では、前もって特定の人に対するプレゼントは禁止する旨のお達しがありました。当日、我が子はたくさんのカードを持って帰ってきました。クラスメートからだけではなく、先生からのものもあります。個人でのプレゼントのやり取りは禁止でも、全員にならOKということで、「Happy Valentaine’s Day!」の気持ちを表したい人たちはクラスメート全員分のカードを書いたのでした。まだまだ文章を書くこともやっとの子どもたちなので、せいぜい市販のカードにサインするので精いっぱいなのですが、それでも20人以上の名前を書くだけでも大仕事。ほのぼのした気持ちになったものです。


大人のバレンタインデーは、やはり男性から女性にプレゼントするのが今も健在のようで、マンションの受け付けには大量の花が届きます。街中にも仕事帰りかスーツ姿に花束を持って急ぎ足の男性も目につきます。そんな日には「郷に入れば郷にしたがえ」と、声を大にして主張したくなる私でした。


                ❤ バンコク ❤




ところで、バンコクには赤いバラにまつわるパワースポット、「プラ・トリムルディ」があります。これはヒンズー三大神プラフマー(創造)、ヴシュヌ(維持)、シヴァ(破壊)の三位一体神、縁結びと恋愛の神様です。9本の赤いバラと赤い線香、2本の赤いロウソクを祭壇に供えて、恋愛成就を祈願します。木曜日の夜9時に神様が降臨すると伝えられているので多くの参拝者が訪れますが、特にバレンタイン・デー前は最高潮の盛り上がりとなるでしょう。


214日、バンコクは赤いバラの花で溢れます。バレンタイン・デーは、男性が女性に真紅のバラの花をプレゼントして愛を捧げる大切な日。バラは愛と美の象徴であり、「あなたを愛します」という花言葉の赤いバラの花束は、意中の人に心を込めて贈るメッセージです。

この日は、街角にはバラ売り屋台も出現し、町は赤く彩られます。花束と一緒にぬいぐるみを贈ることもあるとか。いかにもタイらしくて微笑ましいですね。何日も前からバレンタイン商戦が始まる日本のように、女性が男性にチョコレートをこぞって贈るなんていうことも、もちろん義理チョコならぬ義理バラなどはあり得ません。



               ❤ ベルギー ❤

 

日本のバレンタインはチョコの売上がグンと延びる日。しかも超高い外国産が飛ぶ様に売れるので、世界のショコラティエにとっては「盆暮れ正月」が一緒に来たような「ありがた~い」日です。あるベルギーの超有名ショコラティエの年間売上の約半分がこの時だとか。猫も杓子もチョコレートに狂騒するバレンタインは、相変わらず「義理チョコ」などという何だか訳が分からないものから、最近は「友チョコ」という名のプレゼント交換日になっているようです。

 

ではベルギーはどうでしょう。友人宅に呼ばれた時に持っていく、または自宅でのお茶の時になどと、通常からチョコを食べつけているベルギー人にとり、特にこの日にチョコをあげることはありませんが、この時期限定のハート型のケーキやチョコレートが売れています。


一番人気はレストランに行くこと。星付きレストランやホテルではシャンパン付きの特別メニューを用意し、ディスコでは有名DJを呼んで「愛の日」の演出で盛り上がります。若者や外食とまではいかない人たちでも、プレゼント交換など、やはりいつもと違う特別な日のようです。ショートメール全盛の今でも、セロファンに包んだ一本の赤いバラを持つ若者をたくさん見かけます。

 

バレンタインの由来については、日本洋菓子協会連合会に書いた拙文をご覧ください。

★ベルギーの街角から  http://www.gateaux.or.jp/g/news/002-belgium.html


     ヴィタメールWittamer  

    https://www.wittamer.com/   

       photo© Wittamer


ド・バール【クノックKnokke-HeistDe Baere 

   http://www.debaere-boulangerie.be/

       photo ©mark.verlaecke